9月句会投句一覧
兼題の部(萩)
1次々と萩こぼれをり風も無し2禅寺の夜空にもあり乱れ萩
3萩の寺伐折羅の髪は逆立ちて4山萩や下り半里をながれ咲き
5皆殺し爺様好むお萩かな6捨て猫の名所萩咲き乱れたり
7古民家にデジタル公衆萩の陰8萩咲くにガザの赤子の乳房恋ひ
9萩咲いて散って箒の後に雨10音読の下手になりたり萩の花
11かすみ目も八十路の証萩乱る12萩咲くや心技体ある安青錦
13萩散るや鰭花屑を割りゆけり14塵取りにまろぶ白萩仄暗く
15寄れば匂ふ萩を刈りたる妻の髪16門二つくぐる参道萩の風
17山門のくちし土塀に萩ゆれる18重ね散る昨日の萩に今日の萩
19手に負へぬ萩の乱れの裏参道20白萩のしだれとうねり括りをり
21神苑の深き菷目こぼれ萩22一歩づつ進む道には萩の花
23山城に空壕残し萩の風24萩の庭光源氏のミュージアム
25人力車走り抜けゆきこぼれ萩26嫋やかに風を往なすや乱れ萩
27人生の峠を越えて萩の道28散り敷きて余生を語るこぼれ萩
29新聞を取りにポストへ萩に触る30白萩の路傍に佇む薄明かり
31車椅子押してチャペルへ萩日和32口開けは地酒一献萩の宿
33白杖の足音響く今朝の秋34こぼれ萩軍馬一頭見当たらず
35目の前に虚子の碑ぬつと萩の寺36萩散るや父母の墓のみ残る里
37豆腐屋へ抜ける近道萩の花38磴頭のそこは宝前萩万朶
39参道をせばむるほどのこぼれ萩40はみ出しししなだるる萩せまき道
41萩の花さはさは風の軽さかな42風のまに袖ひるがへり萩の花
43白猫にこぼるる萩や無住寺44チェンソーに揺るぐ山路や萩こぼる
45白萩のこぼれて風のゆくへかな46萩咲かば終わりのみえし田の仕事
47出先から新居へ直帰乱れ萩48手を抜かぬ日々の食事やこぼれ萩
49集ひ来て講の始まり萩の寺50生まれたる風のささやきこぼれ萩
51潮待ちの鞆の港や萩の月52萩こぼれ小雨そぼ降る田舎道
53清しきや関守石のこぼれ萩54冒険は髪色古希の萩の風
55江ノ電や運転徐行こぼれ萩56遠来の客を迎える萩の花
57鍵失せし母の文机こぼれ萩58散りし萩名もなき草とまぎれたり
59俎に風あて憩う小萩かな60後ずさり萩の垣根に触れる音
61萩に月幾星霜の歩みかな62下校する子たちの肩やこぼれ萩
63阿蘇宮の砂利ふむ音やこぼれ萩64亡妻と歩みし古都の萩の道
65思い出や振り返り見る道の萩66しなやかにはらりと舞いし萩の生
67こぼれ萩つと柴犬の走り出す68せせらぎや小径は萩のアーチへと
69分け出れば盗人萩の実の数多70古城址のベンチにひとり萩の風
71石庭へ小さき影降るこぼれ萩72ひとすぢの風の零せる萩の花
73軒深き八雲の旧居萩の庭74萩散ってとまれ骨密度測定す
75こちら向くカバン人形秋思かな76山萩をゆらせて風のひとながれ
77黄昏の武家屋敷群こぼれ萩78萩の花線路の近くでむせて居る
79高円の山深深と萩の花  
自由題の部
80秋冷の沼静まりて風も無し81新涼の風をうべなふ過客かな
82孫の靴数多散らばり秋麗83名月や独り住まひの襤褸畳
84復興の息吹は遠く夏の赫85秋のこゑ瞳を閉ぢてゐる間
86歓声はおんばこ相撲くつ脱ぎ場87水馬水面流るる影の色
88表札を替えて西向き実南天89「年のせい」と医師は言うなり柿日和
90氷河溶けあまたの命夏の山91蓑虫やさびしき庭の耳飾り
92混声の昭和の歌曲うす月夜93夕陽を穿つ椋鳥の黒き羽
94リストラの子の背広着せ案山子かな95蜩や出入り禁止の奥の院
96人間の我儘やまず氷河泣く97こじ付けの記念日多し穴惑
98撫子の謙遜といふ主張かな99こほろぎや詩を詠むやうに読経す
100穴まどひ重き扉の礼拝堂101この星の暑さを知らぬ夏の月
102雁渡しビル裏に終バスの着く103大根蒔きわずか三日の発芽かな
104料亭に白檀の香の秋扇105AIに心失ふ秋思かな
106行きは白帰り紅さし酔芙蓉107黄泉からも混じる花野の同窓会
108遠富士の暮れゆく速さ秋夕べ109ゆくりなく雨降りかかる秋の空
110白鶺鴒ホップステップ飛び立てり111爽やかや子はジャンプして吊革に
112剪定や鼻歌混じりの金木犀113ニュウドウカジカの心地やどつと霧
114ほろほろと亡友のこゑちちろ虫115警策の肩打つ音や菊日和
116降り出して駅は賑やか九月尽117熱き茶を音たてすする露の朝
118風なくも落つる木の実や杣の道119涼新た美山の朝の深呼吸
120手の届くようで届かぬ秋の虹121啄木鳥や真青の空を呼び込みぬ
122駒払う袴の袖に秋の風123層なすや行方のたがう秋の雲
124言ひすぎて後へもどれぬ穴惑ひ125百姓の無口となりぬ秋出水
126学童やピーチクパーチク小鳥来る127気が付けば世話さるる側敬老日
128笠ぬちの素顔気になる風の盆129新涼や京の町家の通し土間
130終活や蔵書手放す秋の暮131ゴールして漕手もマネも夏終わる
132共鳴の音響けり竹の春133新蕎麦や去年二人で来し店へ
134内定の証に挿すや赤い羽根135鳳仙花はじけし音を聴きたくて
136虫ほおずき俳画に父の篆刻印137AI(エーアイ)をあいと読む祖母とろろ汁
138秋麗や砂糖まぶしたパンの耳139空揺らぎ遠く望んで雁渡し
140ちりちりと歯石削らる残暑かな141山あいに筒音ひびく豊の秋
142乾きゆく箒の跡や秋の風143SLの煙棚引く花野原
144母を待ち一人遊びやななかまど145ワイキキの雨香満ちたる二重虹
146AIの未来肴に月見酒147芭蕉葉や内より曇る腕時計
148白萩や米を撒いたと紛うなり149声出し読む夜長の源氏物語
150どの道も彼の世へ果つる曼殊沙華151巣を二つ残し帰燕の老舗かな
152のろのろと江ノ電通る初紅葉153黄金の棚田を区切る彼岸花
154鬼やんま忖度無しや行つたきり155大百足畳の上の大往生
156満月や三和土にくぼむ傘の跡157ほたる草迷路を作る準備して
158竹の春さわさわと水音軽し159秋暁や郵便受けの澄んだ音
160蓑虫や枕に暫し谺あり161もやもやの晴れぬ世の中貝割菜
162傘寿なほ舌の覚ゆる新豆腐163寂寥や野分けの後の水の跡
164爽やかや軒に干すものより風来165昨夜の雨一町二反の大根蒔く
166長茄子を程よく焼きて休暇果つ167西教寺閂軽く桔梗濃し
168自販機のうどん分け合う月の雨169誰が置く父の墓前の缶ビール
170蓑虫やまとひをりしは葉の二枚171背ナの戸に声して夜食めしあがれ
172まろやかに闇育てをり鉦叩173形見のギター質屋より出し涼新た
174休耕田御役御免の案山子達175コスモスや幼き日々が見えかくれ
176じいちゃんと今日は一緒だ牛膝177吾亦紅ぽつんぽつんと沈思あり
178入り日いま芒きらめく箱根山179古寺のぼてっと灯り虫すだく
180風で知る遥か彼方に野分あり181半ば開きたる戸の不気味十三夜
182新調の刈り込み鋏松手入れ183派手派手のネイルの少女墓参り
184季節感狂ふ自然や穴惑185死に方も不器用でいい秋の空
186皴深し瞳輝く夜学生187水たまり青空つつくあきつかな
188蒼天に一筋刷いて秋の風189萩咲きて盗人萩と風の中
190秋蝶の淡きひかりを零しゆく191放課後のもじもじ歩く萩の花
192人の世の列につきたる雁の声193列りて無念の桔梗手向けけり
194直線が好きで理系で穴惑ひ195眼の手術漸く終へて秋刀魚かな
196穂を解く芒に惜しみなき朝日197鎌倉の雨のひと日や蓮の実
198伝統が息づく園の酔芙蓉199柔らかく漏るる町家の秋灯し
200蘊蓄を語るおやぢや衣被201空間を迷路の如く赤とんぼ
202母寡黙野菊の里の人なりき203遠ざかる僧の鐘の音秋入り日
204秋冷や根子岳望むウエストン碑205ベランダでケール栽培秋高し
206秋刀魚さえ出世をするに我夫は207廃線の赤錆レール曼珠沙華
208束ね髪解きて湯浴みや月の夜209房州の海より湧きて鰯雲
210石舞台は遊び場義母の誉夏211秋出水引きたる川原鷺一羽
212いつの日も風を集める紫苑かな213また来いとこけしの笑みやうろこ雲
214敬老の日シルバーウィークと広がりて215初秋刀魚職人技の箸の先
216めじるしは金木犀の香りかな217松葉杖まだ突き慣れぬ秋時雨
218とんぼうの纏わり付くや杭の先219秋澄むや理髪鋏の軽やかに
220湯の街に人まばらなる秋時雨221人が消え柿の実たわわ村が消え
222蹴上がりの両肘伸びて秋高し223浮く心尋ねてみたし秋アカネ
224面影のにこりと揺るる銀杏かな225つくねんと辿る来し方秋ついり
226前脚を格納したる蜻蛉かな227セメントの壁の円相はぎの技
228湯上がりの風の優しき夕月夜229稲架崩す夕日の影を曳きながら
230雲低く町を覆へり震災忌231宍道湖の波平らかに秋落暉
232秋初め頭を白くして写経して233サピエンス屋根に色付け天高し
234交差点停まる車窓に群蜻蛉235ゆびさきに鋏の匂ひ夜半の秋
236線路には時折秋思の声混じり237さやさやと小路抜ければ秋の池
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より2句、自由題より4句の計6句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:10月22日(木)、発表は10月25日(日)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
8月句会結果発表
兼題の部(蜻蛉)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
69影連れて影より薄き糸蜻蛉15岡山県原 洋一
4牧の空蜻蛉の国となりにけり13北海道北郷傘寿
21目玉まで筋肉質の鬼やんま6静岡県彗 星
16九十九里の海の青さや秋あかね5○千葉県こごめ草
8廃村のとんぼ風吹くたびに増ゆ4◎静岡県指田悠志
28ペダル漕ぐ部活の列に赤とんぼ4◎埼玉県イレーネ
7蜻蛉やユンボ静かに頭垂れ4石川県翡翠工房
19風に乗り風と遊べる蜻蛉かな4神奈川県ひろし
26赤蜻蛉来て夕空の整ひぬ4京都府せいち
39少年の追う姿なく鬼ヤンマ4北海道篤 道
43糸紡ぐ町がふるさと夕蜻蛉4東京都浩 平
71阿蘇五岳切り返したる鬼やんま4神奈川県横坂 泰
75夕映えのなかへ溶けゐる赤蜻蛉4千葉県光雲2
5蜻蛉や故郷遠き阿蘇の空3滋賀県百合乃
11蜻蛉採り父の追憶掬いけり3兵庫県紀州鰹節
17世界遺産の明日香の里に来る蜻蛉3埼玉県桜 子
22絵手紙の空にすいと赤蜻蛉3北海道無 才
31蜻蛉の信号まもるかの如く3神奈川県毬 栗
38つぎつぎと二連蜻蛉の川を打つ3滋賀県原茂幸
50赤とんぼ薄き影置く更地かな3愛知県み う
55銀やんま風道づれの切り通し3埼玉県千葉 美知子
56とんぼ追ふ少女の帽子風に舞ふ3滋賀県鶴亀鈍
59シーソーに鍵つ子と塩辛蜻蛉3大分県晴田そわか
65山里や夕日にふゆる赤とんぼ3愛知県牧 子
49蜻蛉増ゆ夫を見舞ひし帰り道2★奈良県魚楽子
33ゆふつづやあの子いづくへ蜻蛉釣2○神奈川県藤澤迪夫(みちを)
62淡海を指す道しるべ秋茜2○三重県déraciné
2夕まぐれ郷愁誘ふ赤蜻蛉2千葉県えだまめ
13蜻蛉や水を流るる水の影2兵庫県毬 藻
14答案に赤ペン花丸蜻蛉来る2神奈川県遠野アルヒ
18蜻蛉や今年御霊の道しるべ2北海道雪達磨
24もう既に余生と言われ赤蜻蛉2神奈川県たかほ
25蜻蛉に重さのあるや風となる2滋賀県幸 亀
34先だちて蜻蛉の覗く駅ノート2大阪府椋本望生
46風に乗り道案内か赤蜻蛉2茨城県西川富美子
51止まられて払ふも出来ぬ蜻蛉かな2千葉県須藤カズ子
1赤蜻蛉閑かにしずかに余生なほ1愛知県佐藤マルキチ
3外にも出よ子供らを待つ赤蜻蛉1大阪府森 佳月
29月山や木道跡の鬼蜻蜓1山形県柴五郎
30ふるさとの水恋しかり塩蜻蛉1神奈川県ドラゴン
37母は今蜻蛉に生まれ代はりしか1広島県山野啓子
41公園に風と光の蝶とんぼ1大阪府藤井あつこ
47蜻蛉を追ひかけてゆく三歳児1愛媛県牛太郎
52蜻蛉の影水にあり沼暮るる1神奈川県秋山由美子
53おはぐろやいのちあるもの嫋やかに1神奈川県りゅう
57蜻蛉の群れに包まれ歩む土手1神奈川県佐藤けい
61試合終へ蜻蛉と帰る部活の子1神奈川県風 神
63編隊を組んで飛行の蜻蛉かな1岐阜県俳ネン
68川音の近づく道へ鬼蜻蜓1茨城県申 女
74群れていて群れてないよな赤蜻蛉1埼玉県夜 舟
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
97朝顔や間口の狭き京町家11静岡県彗 星
196槍投げの締めの雄叫び秋高し11神奈川県梗 舟
95日の匂ふハンカチの角揃へけり8○神奈川県ひろし
90茄子味噌や里の厨の深庇8神奈川県遠野アルヒ
106子を抱きし汗の乳房や長崎忌7★神奈川県ドラゴン
195かはりたる雨の匂ひや秋初め7○東京都浩 平
124終の客送りて仰ぐ盆の月7愛媛県海 猫
103病棟の窓一杯に揚花火6愛知県コタロー
110皺くちやの手指すり抜く今年米6大阪府椋本望生
118手すり貸す朝顔の花終わるまで6兵庫県ケイト
121仏壇のりんの余韻や蝉時雨6大阪府西田順紀
135呼吸器を外す八月十五日5大分県晴田そわか
145お互ひに触れぬことあり夕花野5岡山県原 洋一
150父が舞ひ孫また舞ひて村芝居5埼玉県夜 舟
179秋声を拾ってをりぬ犬の耳5愛知県コタロー
129夕日より妻提げてくる西瓜かな4◎神奈川県りゅう
214今朝の秋少し濃くする墨の色4○三重県déraciné
80オホーツク沖の真闇や流れ星4北海道北郷傘寿
82稲の葉の頬刺す朝の田草引き4宮崎県黒木 寛史
83桔梗の折り目清しき濃紫4石川県翡翠工房
102「ヤッホ~」が「ヤッホ~」を呼び秋に入る4京都府せいち
112酔芙蓉うなづく君のゑくぼかな4兵庫県三 郎
155亡き妻と夢で遊びて星祭4大阪府森 佳月
162「座頭市」を和尚快諾村芝居4岐阜県近藤周三
171秋夕焼切り絵のごとき富士の影4神奈川県ひろし
176夏雲や背中預けて草を刈り4神奈川県たかほ
197新刊に季節の栞夜涼かな4大阪府西田順紀
204小流れを浮きて沈みて葛の花4神奈川県秋山由美子
78捨て船に白鷺一羽夕まぐれ3千葉県えだまめ
81只今にお帰りと声ちちろ虫3滋賀県百合乃
89おそらくは死ぬことも下手けいとう花3兵庫県毬 藻
93そら豆剥く自立をすると言う子かな3埼玉県桜 子
96海にでてだんだん太く鰯雲3静岡県えいちゃん
104忘れがたし峠の茶屋の走り蕎麦3埼玉県イレーネ
105カレールウくにゃり秋暑のワンルーム3山形県柴五郎
109滴りを享くる野猫の舌赤し3神奈川県藤澤迪夫(みちを)
114よくもまあ衝突の無き群れ蜻蛉3滋賀県原茂幸
116別れ路の戒壇院に母子鹿3大阪府奥村かよん
123朝顔の水やりをして登校す3愛媛県牛太郎
126灯籠の揺らぎや大社闇深し3愛知県み う
130蜩や人の気配を消してゆく3静岡県渡邉春生
137行く夏の足裏に残る微熱かな3神奈川県風 神
140丁寧に納豆混ぜる原爆忌3東京都小石日和
141天仰ぐ蝉の骸や夢のまま3愛知県牧 子
165緋のカンナ角まがりたる父を見し3兵庫県毬 藻
169蝉時雨百の石段奥の院3埼玉県桜 子
178数式の解けないままに夏の行く3京都府せいち
203八ヶ岳雲の晴れ行く大花野3千葉県須藤カズ子
210落蝉や道のひと葉に寝るやうに3広島県一 九
181いつまでも来ぬエレベータ秋暑し2◎山形県柴五郎
107流行をとおく眺めて夕端居2○神奈川県毬 栗
133通院の駅前通り百日紅2○神奈川県佐藤けい
84終戦日今はわが子の名もわすれ2静岡県指田悠志
88島原の飛び地の岬小向日葵2大分県牧野桂一
101人絶えること無く墓参合祀墓2滋賀県幸 亀
111べい独楽や菓子を分け合ふ路地の暮2千葉県文 武
113蟷螂の揺れつつ向きの定まれり2広島県山野啓子
125風神雷神去りし朝のこぼれ萩2奈良県魚楽子
128汐風の揺るる秋草極楽寺2神奈川県秋山由美子
143誰が置く父の墓前の缶ビール2千葉県山 月
154朝まだき白磁を包む涼新た2千葉県えだまめ
160八月のピアノ下着のまま奏づ2静岡県指田悠志
172風の来て野道に人や秋に入る2静岡県えいちゃん
173馬籠宿色なき風が通り抜く2静岡県彗 星
190近寄れば翅を構える蜻蛉かな2滋賀県原茂幸
192竜淵に潜む一番星清ら2大阪府奥村かよん
201法師蝉取説の文字小さくて2奈良県魚楽子
208無言館無言で語る敗戦忌2滋賀県鶴亀鈍
213風に乗り風をくるりと秋燕2神奈川県風 神
77広島忌車窓に遠き鐘の音1○愛知県佐藤マルキチ
79熊蝉やどこかと見れば飛び立てり1大阪府森 佳月
85葉の露を照らす朝日は真横から1新潟県しーしー
86刀工やまたも刃を折る夏痩せて1岐阜県近藤周三
91折り鶴の願いむなしい夏が来た1神奈川県ゆりみ
92海峡に留まる夫や小夜砧1千葉県こごめ草
115その本は午睡用にて置きしまま1北海道篤 道
117図書館の四方の大窓秋澄めり1大阪府藤井あつこ
136露草の生命力に雨が降る1愛知県いきか
139朝顔を数へ一日始まるる1岐阜県俳ネン
142花火消えさらなる闇の生じけり1東京都水谷博吉
144急登の末の絶景秋の雲1茨城県申 女
152天然の水とうふを際立たせ1埼玉県豊 楽
153ホーホーと闇に影なす鵜の篝1愛知県佐藤マルキチ
156菊膾傘寿の舌の衰へず1北海道北郷傘寿
157閂の軽き菩提寺濃し桔梗1滋賀県百合乃
158霧島の高きに登り神の鉾1宮崎県黒木 寛史
161流灯会人目をさける路地のカフェ1新潟県しーしー
164磨崖仏足湯に響く蝉の声1大分県牧野桂一
166佇めば河風に秋あかり坂1神奈川県遠野アルヒ
174白露や笹に玉成し煌めけり1北海道無 才
180旧市街タクシー止めるパナマ帽1埼玉県イレーネ
182遠き日の子の勲章の日焼かな1神奈川県ドラゴン
185ちちははを連れ天翔ける迎馬1神奈川県藤澤迪夫(みちを)
186こころたび無月の坂を颯爽と1大阪府椋本望生
193般若寺の風のコスモス乱れ咲く1大阪府藤井あつこ
199新涼や海の彼方の伊豫小富士1愛媛県牛太郎
202秋暑し重たき空に鴉鳴く1愛知県み う
206戦場を駆けてきたるか茄子の馬1静岡県渡邉春生
207野良猫の眼を剝く不信敗戦忌1埼玉県千葉 美知子
219大花火天のカンバス何枚も1千葉県山 月
220ボサノヴァの流るるカフェや秋うらら1茨城県申 女
221昼一人夜は二人の冬瓜汁1岡山県原 洋一
227愛しむや命こぼるる蛍の火1千葉県光雲2
【八月句会選評】 選者:草の花俳句会同人会 服部 満

≪兼題の部:蜻蛉≫

★蜻蛉増ゆ夫を見舞ひし帰り道

 病気入院中の夫を見舞った帰り道。気がつくと多くの蜻蛉が飛び交っています。前回病院を訪れたつい先日は、
まだ蜻蛉に気がつかない程だったのに。群れ飛ぶ蜻蛉の姿に、夫の入院も夏の暑い盛りを過ぎ、いつの間にか秋
を迎えてしまった、というしみじみとした想いを感じさせます。早く病が癒えることを祈ります。この蜻蛉は赤
とんぼでしょう。

◎廃村のとんぼ風吹くたびに増ゆ

 風が吹く度に風に乗って蜻蛉がやって来るということではなく、山間の廃村を通過する際、秋風を感じる度に
あちらにもこちらにもとんぼが、という景でしょう。今や住民の絶えた村に、人々の生活があったときと同じよ
うにとんぼが舞っている。秋風の「吹く度に増ゆ」というもの寂しい描写が身に沁みます。

◎ペダル漕ぐ部活の列に赤とんぼ

 部活動のために練習場へ向かうのか、あるいは自転車競技のトレーニングか。赤とんぼの群がる中を列をなし
て銀鱗が横切って行く。飛び交う赤とんぼとペダルを漕ぐ若者たちのはつらつとした姿が秋の空気にぴったりで
す。部活動も3年生が引退し、2年生がチームの中心となる、赤とんぼにそんな季節の推移を感じさせます。

≪自由題の部≫
                        
★子を抱きし汗の乳房や長崎忌

 幼い子を抱いたまま何か家事をこなしたか、あるいは授乳でもしたのか。いつの間にか乳房が汗ばんでいる。
それ自体は何の変哲も無いごく日常的な行為であり状態です。しかし今日は「長崎忌」。今日の自分と全く同じ
状態のまま、原爆に息絶えた母子がいるかもしれない。「長崎忌」という重さを思わずにはいられません。

◎夕日より妻提げてくる西瓜かな

 網目の大きな袋に入れられた西瓜。傾いた夕日の中、影絵のように西瓜を提げて緩やかな坂を登って来る妻の
遠景。そんな昭和の頃の映画の一場面のようです。今では小家族向きにあるいは冷蔵庫に収め易いようにと、小
型の改良種が出ていますが、掲句は昔ながらの大型の一つ玉を、暑いなか提げて帰る懐かしい光景を連想させます。

◎いつまでも来ぬエレベータ秋暑し

 各階で押される停止ボタンや、各階での乗降りの状況で随分と待たされることがあります。エレベータ待ちと
「秋暑し」とは何の関係もありませんが、なかなか来ないエレベータを待つ焦れったさ、急く気持ちは残暑という
身体感覚とどこか通じるのかもしれません。通過フロアの灯りを見上げながら、エレベータホールで感じた秋暑し
なのでしょう。


        
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