12月句会投句一覧
兼題の部(湯豆腐)
1湯豆腐や一日葬も悪くない2湯豆腐の一詩記せり箸袋
3湯豆腐の湯気を透かして笑顔かな4湯豆腐やぽん酢醤油の歌うたひ
5湯豆腐や雰囲気食す南禅寺6湯豆腐や馬刺も付いて馬籠宿
7湯豆腐の湯気に家族の元気あり8湯豆腐や指のささくれ父ゆずり
9凝ってみる湯豆腐の薬味円座かな10湯豆腐のゆげまで美味き左遷の地
11湯豆腐を上手く掬えぬ子供かな12沸点に湯豆腐の蓋暴れをり
13湯豆腐や京の町屋の夕餉かな14湯豆腐や女二人の恋話
15湯豆腐の揺れて食べごろ君と僕16湯豆腐や島は浪風やや高く
17マドンナと湯豆腐路地の縄のれん18湯豆腐の似合ふ齢や六畳間
19嵯峨野路を歩き歩きて湯豆腐屋20湯豆腐を掬ひ眼鏡の曇りをり
21髯面に馴れし湯奴風呂上がり22湯豆腐や二百年目の梁の艶
23傷心の吾に湯豆腐のある夕べ24夕餉には湯豆腐囲む家族かな
25湯豆腐に湯加減如何と聞いてみる26湯豆腐や女語りに嘘もあり
27湯豆腐や写真に向きて一人鍋28湯豆腐を囲んではずむ子の笑顔
29湯豆腐を掬う女将や手のしなる30湯豆腐や乾杯たまに下戸夫婦
31湯豆腐に打ち解け本音話しけり32湯豆腐の揺らぎが解かす蟠り
33白無垢の湯豆腐悲しすぎる年34湯豆腐の湯気の向かふに見る笑顔
35湯豆腐や忘憂といふとも連れて36子の悩み聞く湯豆腐の箸止めて
37湯豆腐のふつふつふつと待ちぼうけ38暖簾には文政とあり湯豆腐屋
39湯豆腐や一緒に飲み込む愚痴二つ40話すことなくて湯豆腐父子かな
41湯豆腐や初めて掴む主役の座42湯豆腐に薩摩切子で盃交わす
43湯豆腐をつつきよもやま話など44湯豆腐や子らの巣立ちて小鍋買う
45湯豆腐や土鍋の底に昆布の屑46温泉の湯豆腐雪のごとく溶け
47湯豆腐の愚痴聴き逃す老眼鏡48湯豆腐の鍋の温みや四畳半
49湯豆腐に薄明りあり禍福なし50湯豆腐の温かさ浸む旅の宿
51湯豆腐に併せすすめる地酒かな52湯豆腐やぶつくさ続く墓終い
53湯豆腐や差しつ差されつ酌む地酒54湯豆腐や亡き母の分ほど残る
55一人旅一人湯豆腐南禅寺56湯豆腐の湯気の向こうに京偲ぶ
57湯豆腐や母と二人の山の宿58湯豆腐の湯気に隠るる逢瀬の夜
59湯豆腐の湯気につつまる国訛り60湯豆腐や話のネタも三周目
61湯豆腐を食べて老老介護して62カウンター席の湯豆腐誰の分
63湯豆腐や相槌を打つ聞き上手64湯豆腐や土鍋大きな夫婦膳
65湯豆腐や湯気も笑声も味のうち66湯豆腐のこぶの蘊蓄男かな
67湯豆腐の湯気の向かふに白き猫68湯豆腐や肩の荷ひとつ下ろしたる
69地酒汲む今宵湯豆腐煮て二人70湯豆腐や亡き友囲む夜の宴
71湯豆腐を囲む社友の野辺送り72湯豆腐やお国言葉の行き交へる
73湯豆腐や母に習いしたれ付けて74湯豆腐に白滝も入れネギもいれ
75湯豆腐や青ねぎを脇役として76湯豆腐を好きになる頃年女
77湯豆腐のひとことことりゆらゆらと78柊屋湯豆腐清し京の朝
79湯豆腐や無責任にも生きられず80湯豆腐やほのかに雨の東山
81湯豆腐の亀裂に箸を慎重に82湯豆腐の湯気の満ちゆくワンルーム
83夫の居ぬ湯豆腐の湯気薄くゆれ  
自由題の部
84寒卵だけの朝食独居かな85落城の秘話に日の差す返り花
86肩書を無くし生身や冬木立87子の方へおでん泳がす妻の箸
88凍てる道ペンギン歩き履修かな89冴ゆる夜の痛みアダージョに手術あと
90思いきの黄砂の飛来十一月91午後の陽の雫に青き松飾
92あれこれを定位置へ戻し山眠る93目標は動ぜぬ男日記買ふ
94雪のイブじっと立ちたるガードマン95薄墨の棚雲載せて山眠る
96福引や欲持たぬ子の大当たり97ポインセチア買う片恋を思い切る
98行く年を語る大樹の瘤と瘤99雪吊りの縄金色の薄暮かな
100主のないフィギュアの赤い服寒そ101年毎に確と育つや隙間風
102冬銀河街の暮らしに馴染みをり103数多なる祈りの数よ冬銀河
104梟や見る吾に腹立てている105新聞に切り抜きの窓冬の鵙
106好きなことだけして暮らす師走かな107冬障子柔らぐ影のモノトーン
108石炭のバケツ一緒に持った朝109山眠る互い気付かぬ千日手
110路地裏に殺気漂う喧嘩独楽111ひと日終え一人リビングユズ茶の香
112唐松や身ぐるみ脱いで冬陽浴び113客多しあれもこれもと年の暮
114誕生を楽しみながら毛糸編む115天上に会ひたき人や冬銀河
116賀状書くたび美しき名と思ふ117冬枯の列年金支給日
118器用とはいかぬ年ゆく二八そば119去年まで君居た窓辺ポインセチア
120豆炊くや朝一番の古火鉢121冬の月東寺の池の水底に
122冬雀散りて戻りてまた群るる123仕舞湯に柚足し伸ばす五体かな
124指笛を吹けば舞来る鷹の翳125渡し舟待てば矢切の冬の草
126我が影を水輪に崩す池の鴨127冬晴れや腕まくりして窓を拭く
128熱燗や叙勲の父の酒器一対129火の匂ひ煙草に移す囲炉裏かな
130アトリエは母乳の匂ひ冬の薔薇131年忘れ馴染みの店のアジフライ
132オーバーに折々の貌影長し133眠られぬ夜の永きよ外は雪
134寒ぶりの厚切りほれと子の口に135湯たんぽのドリブル続く小半時
136海近き無人の駅舎冬夕焼137翌日のシャンパンの味月冴ゆる
138日差し受け冬菜畑で深呼吸139自らが喜寿超えるとは大晦日
140鐘の音に光の集ふ聖夜かな141闘病と言ふ名の幸や冬銀河
142魯山人忌タルタルソースたつぷりと143生まれ来し子を湯気超しに小豆粥
144蹲踞に茶の花二つ置かれあり145食べこぼす母は戌年冬至粥
146生牡蠣の甘きかほりや濁り酒147冬茜人影伸びて立ち上がり
148山茶花の小路の先の奥の院149しんしんたり人待ちらしき雪の傘
150ひそやかな寒菊刈りて供花とせり151ストーブ列車するめ焼きたる津軽弁
152大鷹を愛しむ仲間の定例会153石蕗の花松の下枝に触るるほど
154初場所は晴着の勝負砂被り155冬の水けものの影を置きにけり
156人づてに知る友の入所や寒椿157子を訪ね知多の魴鮄いただきぬ
158雨雲をしばし払ひて冬の月159鳴らせコントラバス第94章
160川音の高鳴る甲斐の初湯かな161AIはいつでも優し冬の虹
162不在票溜まるポストと冬の薔薇163白息に塵も埃も輝けり
164草枯れて萩枯れて居て石の亀165淑気密つ門まつさらな蝶番
166朱塗り橋めでたき新春(はる)を待つばかり167年越しや友と外出したことも
168入船の汽笛三度に蜜柑剥く169寝坊助の妻のおはよう息白し
170チゲ鍋の辛きを喰うて元オネエ171秋の宵オーロラ出逢う陸別路
172冬晴れや庭の木影の新しく173一枚の座布団鎮座縁小春
174一杯の熱燗妻の頬を染め175姫神の袂広げし雪の富士山(ふじ〕
176器用とは言へぬ生きざまうるめ焼く177兵士たち星に十字を切る聖夜
178独り身に迫る年の瀬コップ酒179枯草の見かけによらぬしたたかさ
180山眠る互い気付かぬ千日手181遮断機の上るのを待つ大晦日
182除雪車を降りずに一人飯を喰う183判官が逃避の浦に冬の波
184午後二時の炬燵に潜む睡魔かな185夕暮れはやさしくなりぬ冬の月
186思ひきり踏んでみたいな霜柱187冬田道川原の空気胸一杯
188折鶴の飛び立つ構へ冬の月189初時雨古民家カフェのミルクティー
190灯さねば解からぬ町や寒の雨191妻と行く散歩七十寒椿
192ポインセチア買う片恋を思い切る193凍蝶の触角丸く重なりて
194夕焼け雲ルーチンこなしひと日無事195積もる雪笹しなやかに身に纏い
196冬深し手足の荒れの保湿かな197残業の凍つる靴音闇を打つ
198筆先へ力集めて筆初め199寒き隣国に地獄を生む兵器
200サンタの正体姉の耳打ち妹惑ふ201吊り鮟鱇己が愚鈍を見てをりぬ
202小銭ばかり溜まる財布や十二月203連結の蛇腹波うつ初しぐれ
204鑿荒き円空仏よ飛騨は雪205冬至湯やほどけてゆきてわだかまり
206去年今年ついてゆけない流行語207ご祝儀をはづみ手〆の酉の市
208湯治場に人を納めて山眠る209小春風返納終へし免許証
210着ぶくれてはみ出して飲む屋台かな211凍空や耐へし生きざま久女の忌
212穢れなき真青な海よ開戦日213あと二十年喰ふたるぞ寒卵
214老い猫を見つむる朝冬の雨215晦日蕎麦歳月の足り差し向ひ
216山裾に打ち寄す波や枯尾花217一角を占めてブラごみ年の暮
218湯豆腐はいつの間にやらうどんすき219暖房の効きすぎ夜の待合室
220寒卵やさしき人の傷多し221着膨れてペンギン歩き我もまた
222喜寿超えて今さらながら年惜しむ223喧騒の街角灯す社会鍋
224去年今年zoomに映る哺乳瓶225三人の髭なしサンタ聖菓売る
226鰭酒や妙に気の合う隣り席227野放図な金色の蕊茶の木咲く
228けふはまたよく綿虫に遇ふ日かな229威勢よき掛け声手締め三の酉
230人肌や仕事納めの夜の酒231せわしさの無駄とはならぬ師走かな
232冬灯祗園小路のいけず石233マニキュアの娘の啜りたる蕪汁
234殻の山見る見るうちに牡蠣割女235Amazonで骨ある新書買う師走
236風花や戻らぬ君のティーカップ237年の暮孫の討ち入り受けて立つ
238短日や大工道具の忘れ物239光る屋根の向こう小さく冬の海
240知多半島の市場に泳ぐ寒びらめ241たうたうと瀧音ひびき冬紅葉
242スリー決め聖夜はイルミめくるめく243ひとり言柚子の聴いてゐる仕舞風呂
244大掃除終わりし庭や冬銀河245飛行機の窓薄く開け初日の出
246夜半の冬珈琲浅く挽いてをり247冬木立丘に登れば寧々の歌
248亡き祖父のサバニの舳先白千鳥249凍てる夜の避難所の灯の温し窓
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より2句、自由題より4句の計6句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:1月22日(木)、発表は1月25日(日)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
11月句会結果発表
兼題の部(小春)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
39小春日やだつこ紐から踊る四肢18岡山県原 洋一
19小春日や飛び立ちさうな風見鶏11兵庫県毬 藻
33藍染の色刻々と小春風7神奈川県毬栗
46ぬか床をもろ手で返す小春かな7東京都水谷博吉
75沼杉の気根膨らむ小春かな6神奈川県りゅう
45薪割の音小気味よき小春かな6茨城県申 女
32舟を待つ矢切の里の小春かな6神奈川県阿部文彦
17小春日や木の香ただよふ製材所5静岡県えいちゃん
28船旅や凪ぎし小春の瀬戸の海5神奈川県ひろし
37肩車して小春日の大道芸5神奈川県ドラゴン
5小春日や妻と立ち寄るコロッケ屋4栃木県垣内孝雄
7熱烈な電話しづかに聴く小春4静岡県指田悠志
12小春日や誰か来たかと夫の問う4千葉県こごめ草
34郵便も電話も無くて小春かな4広島県山野啓子
76落雁の舌にころがる小春かな3神奈川県とん子
62千光寺眼下に潮の小春かな3千葉県美 保
4お帰りと言えるしあわせ小春かな3大阪府森 佳月
26小春日や鎌で削りて竹とんぼ3大分県輝 久
43縁側にまどろむ老いの小春かな3岩手県素 風
71はつらつと小春の水を噴く子象3大分県晴田そわか
1手の甲の皺を見つめる小春かな2千葉県えだまめ
6変幻の鴎と地平線小春2愛媛県海 猫
10縁小春人魚座りの授乳かな2岐阜県近藤周三
13山路きて何やら愉し小春かな2神奈川県たかほ
14掌に掬ふ小春日和の光かな2愛知県コタロー
23小春日や時報を返す時計台2大分県牧野桂一
24小春日を歩きし夜の深眠り2埼玉県桜 子
30病室去る朝の窓辺に小春来て2大阪府日野かぐや
41小春日やケトルの笛が鳴り渡る2埼玉県イレーネ
48小春日や猫は小窓で腹を出し2千葉県あけび
49小春日やいつまで続く立ち話2神奈川県風 神
53小春日や席をゆづられ又ゆづる2愛知県牧 子
84焙煎の香を運ぶなり町小春2大阪府奥村かよん
11嬉しこと採用通知小春かな1大阪府辻本四季鳥
15小春空ジャンプを高くイルカショー1京都府花 子
21修理せし仁王は美男小春かな1静岡県かいこ
22きわやかな硯の水や小春の日1石川県翡翠工房
35小春日に何やら動く気配あり1神奈川県あけみ
47横須賀は空母とじこめ小春かな1神奈川県横坂 泰
50小春日や向かうのはそこ手術室1滋賀県百合乃
56小春日やにこやかな目の地蔵さん1宮崎県黒木寛史
57小春日や北の小鉢の大移動1滋賀県原茂幸
61小春日や杖つき向かう通所リハ1神奈川県梗 舟
63小春日や女の肩の白さかな1千葉県山 月
66漱石の猫のまどろむ小春かな1愛知県み う
6910センチだけ窓を開け呼ぶ小春1秋田県不知飛鳥
70小春日や息子の地へと搭乗す1北海道小 幸
72番犬の大きな欠伸庭小春1滋賀県幸 亀
79豆入りの大福うまし小六月1大阪府藤井あつこ
80小春日の流木われの骨かとも1静岡県渡邉春生
83小春日の捨てるべきもの鮮明に1愛知県のそう
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
190文庫本ほどの日溜まり寒雀18石川県翡翠工房
102しぐるるや昭和のままの喫茶店14静岡県彗 星
112着物脱ぎ素の子に戻る七五三9神奈川県ひろし
209主婦といふ職に勤労感謝の日7埼玉県イレーネ
97レコードの黒く波打つ神無月7神奈川県たかほ
93鉱山に無事のひと日や冬銀河6神奈川県遠野アルヒ
94なれそめを訊かれやゝ美化狸汁6岐阜県近藤周三
118百年は生きたくもなし冬銀河6広島県山野啓子
135一センチ消えた身長ちゃんちゃんこ6三重県déraciné
150からくりの面は鬼へと神の留守6愛知県み う
194湯豆腐や湯気の向こうの片えくぼ6大分県輝 久
106機織の音のまどかに小夜時雨5石川県翡翠工房
101禅寺の長き廊下や片時雨5静岡県えいちゃん
114鳰の湖暮れて間近や島灯り5大阪府日野かぐや
124短日やひとりでに点く照明灯5東京都浩 平
127籾殻の燻煙しづか霜の朝5岩手県素 風
153筆まめでないあなたから雪便り5秋田県不知飛鳥
179冬晴や闘いぬきて空きベッド5大阪府辻本四季鳥
201御礼状かしこと結ぶ一葉忌5神奈川県毬栗
217爪先に剣道場の床の冷え5神奈川県風 神
130鍵穴に手元迷える夜寒かな4東京都水谷博吉
154寒肥を施し声をかけてゐる4北海道小 幸
207綿虫や話しかけたき人の肩4岡山県原 洋一
89草紅葉空家となりてはや三年4栃木県垣内孝雄
90波音に寝まる段畑十三夜4愛媛県海 猫
100ブランドを誇示するタグやずわい蟹4岐阜県俳ネン
126江ノ電のホームに続く冬の海4神奈川県ひろ志
140峠路を下れば小樽雪の町4宮崎県黒木寛史
155一匹のてふの死つつむ朴落葉4大分県晴田そわか
157保育児の箱車行く鰯雲4神奈川県佐藤けい
218帰るのはそこ木犀の匂う家4滋賀県百合乃
228猿沢池の亀にごつんと冬の来て4奈良県魚楽子
229デゴイチの動かぬ駅舎冬夕焼4神奈川県梗 舟
242目標とする人のあり冬の星4千葉県文 武
247鎌足を祀れる塔婆冬紅葉3大阪府藤井あつこ
107手話返す音なく落ち葉子に降れり3大分県牧野桂一
121龍神の湖静かなり神の留守3神奈川県ドラゴン
123山茶花やこの頃増ゆる独り言3岡山県原 洋一
125神殿の修理の音や神の留守3埼玉県イレーネ
134ケセラセラ歌を唄いて枯野まで3滋賀県百合乃
182十月の翡翠彩を失わず3愛知県コタロー
187冬めきぬ樟脳ひそと痩せてをり3兵庫県毬 藻
215冬紅葉一期一会の足湯かな3神奈川県横坂 泰
216薄墨の淡く雲間や冬の月3千葉県あけび
233冬耕の父は鴉を伴いて3兵庫県ケイト
246鎌倉へどつとくり出す冬帽子3神奈川県秋山由美子
252冬晴や馬頭琴弾く男ぶり2大阪府奥村かよん
88初霜やアールグレイの香り立つ2大阪府森 佳月
103惜しまれて閉店のカフェ小六月2兵庫県毬 藻
109玄関に戻って羽織るカーディガン2新潟県しーしー
116鼻歌で岩手訛りの杜氏来る2神奈川県阿部文彦
117十一月ガードレールの供花(くげ)かしぎ2神奈川県毬栗
131両国を力士出払ふ神無月2神奈川県横坂 泰
133嘘つきと風の囁き芒原2神奈川県風 神
141庭下駄の温もりまろし小六月2滋賀県原茂幸
142闘病の締めの頁に柿紅葉2兵庫県紀州鰹節
148秋の実や返せぬ恩が一つ増え2北海道篤 道
151大根の切り方変えて日向ぼし2茨城県西川富美子
169書を閉じて目をやる窓は冬茜2千葉県えだまめ
176庶民史を寄席に習ひぬ文化の日2京都府せいち
177隠し絵のような枝振り枯木森2神奈川県遠野アルヒ
183菊の香やクマに注意と山の墓地2京都府花 子
206信念を貫く人や冬木立2滋賀県鶴亀鈍
210柿紅葉今日の一枚絵手紙に2神奈川県ひろ志
220旅ごころ障子の穴に見破らる2大阪府椋本望生
221小菊抱き日暮れを急ぐ農婦かな2愛知県牧 子
239亀ゐなくなつた亀池月時雨2大分県晴田そわか
248杭のごと冬晴の野に立ち尽くす2静岡県渡邉春生
159寒鰤漁網を引く手の力瘤1神奈川県りゅう
85散りつ咲く山茶花哀れ薄暮かな1千葉県えだまめ
96病得し夫の北窓塞ぎたり1千葉県こごめ草
104鷹一字天翔けよとふ授くなり1神奈川県みちを
110母思う間借りの街に冬ざれて1大分県輝 久
113柚子ジャムやトーストに浮かぶくれし人1兵庫県藤島三郎
119長き夜難解パズル子に学ぶ1神奈川県あけみ
128思ひ出は何処にもあり落葉焚1神奈川県みぃすてぃ
129師の句碑は川に向きたり冬茜1茨城県申 女
138宍道湖のエンジェルラダー冬隣1千葉県光雲2
143深秋や足湯に並ぶ足いくつ1愛媛県牛太郎
144老いの冬歴史小説へと回帰1奈良県魚楽子
147パレスチナ国家承認秋の空1千葉県山 月
149スーツの師弟沈黙のクリスマス1兵庫県ケイト
152風やみて休むひととき鳥脅し1広島県一 九
160小春日や愛犬モデルにカメラマン1神奈川県とん子
161松風の音を聴くのも冬の楽1埼玉県豊 楽
162寄る波のかくも光りて雁渡し1神奈川県秋山由美子
168毛糸帽の隣の席にテディーベア1大阪府奥村かよん
184レインボーブリッジ跨ぐ時雨虹1岐阜県俳ネン
185あかつきの鴉の声や冬ざるる1静岡県えいちゃん
189熊鈴に爆竹もあり里の秋1静岡県かいこ
192酒肴持ち寄る宴栗名月1埼玉県桜 子
195木枯と言ひて寄り添ふ二人かな1東京都小石日和
196見下ろせば桜紅葉の星の城1神奈川県ひろし
198筏士の舟見ゆ窓や山紅葉1大阪府日野かぐや
203学べどもそばよりこぼる萩の花1神奈川県あけみ
205ランナーがさくさくさくと落葉道1神奈川県ドラゴン
212茅葺や枇杷の花咲く古集落1神奈川県みぃすてぃ
213不意打ちの訃報続きぬ小夜時雨1茨城県申 女
219霜の声手こずっている瓶のふた1三重県déraciné
224稲作の準備始まる一二月1宮崎県黒木寛史
238山茶花の敷き詰めてをり重なりて1北海道小 幸
240安産の院の窓辺に冬日かな1滋賀県幸 亀
245星月夜雅楽の調べは吸い込まれ1埼玉県豊 楽
249凩やともかく歩み歩むのみ1埼玉県千葉美知子
【選評】選者:草の花俳句会同人会 服部 満

≪兼題の部:小春≫

★沼杉の気根膨らむ小春かな

 立冬を過ぎて日増しに寒さが加わってくる中にも、よく晴れて風も穏やかな日和を迎えることがある。そん
な小春日の公園の景。沼杉は幹の周囲の地下から気根を出すのが特徴。暖かな日差しに、作者は前回見たとき
より気根が育ち大きく膨らんでいるように思い、小春日を実感したのでしょう。

◎薪割の音小気味よき小春かな

 地域によっては冬本番に備えて、暖房用に薪を割って納屋などに積み上げて保存する。
斧か鉈を振るって薪を割るのは大変ですが、手慣れた人の手際は鮮やかだ。杢目をよく読んで次々と片付ける。
テンポが良く小気味よい音が響く。風も無い穏やかな小春の日ならではです。薪割もはかどりそうです。

◎落雁の舌にころがる小春かな
 落雁は型に入れて打ち出した乾菓子。口に入れるとほろと崩れる口溶けの良さが特徴。舌に溶けて口中に広
がった味わいに、安らぎを覚えるような心地である。寒さに向かう中で、ほんのひととき迎える暖かい小春の
日和、作者の心情を表しています。縁起の良い形の落雁だったかも知れないと思わせます。
                
≪自由題の部≫                        

★しぐるるや昭和のままの喫茶店

 昔ながらの喫茶店が、今や高齢者の集いの場となっているなどというニュースも報道されている。純喫茶と
いう呼称もすたれましたが、昭和レトロで復活したのではなく、「昭和のままの」喫茶店も地方には意外に残
っていたりする。店内の調度はもちろん、店の構えが昭和そのもの。時雨に打たれるそんな喫茶店に遭遇した
ら懐かしさに感激するに違いありません。

◎鍵穴に手元迷える夜寒かな

 外出から帰宅し、夜の暗さの中で玄関の鍵穴を探すのに手間取る一場面でしょう。寒さは気温低下による身
体感覚だが、掲句では心理的な意味合いも感じられる。恐らく玄関の扉を開けても「ただいま」と口にする相
手はいない、中は真っ暗で自ら電灯のスイッチを押すことになる。「手元迷える」に淋しく、侘しげな「夜寒」
を感じます。

◎主婦といふ職に勤労感謝の日

 共働き世帯が増え、家事の役割分担も多様化して、主婦像も大きく変化してきている。作者は、主婦が立派
な職業であり、毎日元気に家事労働に励み、家庭を支えていることを誇りに思っています。「勤労感謝の日」
の今日は祝おうというわけです。主婦業に誇りを持つ作者の力強い宣言です。

        
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