3月句会投句一覧
兼題の部(春の水)
1新しき妻の墓石に春の水2池も田もあふるるばかり春の水
3都心まで通勤圏内春の水4来る児らの皆手を浸す春の水
5春の水みづうみ眩し豊かなり6春の水手に喜びの伝わり来
7ロードスター置く岸辺まで春の水8春水も大空も我が胸のいろ
9春の水宇治の流れに鵜飼舟10春の水藻のみどり梳き大川へ
11御日和の川満々の春の水12ちゃぷんやらまたぽちゃんやら春の水
13春の水鱗が放つ光かな14絶ゆるなく句沸け詩よ沸け春の水
15過疎村の鍛冶屋に婿や水の春16春の水門跡院の庭巡る
17春の水渇水ダムを潤せり18新しき生命の鼓動春の水
19春の水堰通過する速さかな20カワセミを丸ごと映す春の水
21煌めきを加へ海へと春の水22マルセイユ石鹸の香や春の水
23春の水くねらせ城の鯉の道24一泡と鯉浮かび来る春の水
25春水の音森の静けさ押し流す26茶話や素焼きの鉢へ春の水
27春の水人の集まる停留所28春の水光る小川の橋渡る
29橋脚に沿いてほどける春の水30跳ね橋に跳ねるひかりや春の水
31春の水汽水流域盛り上がる32春水や水が水押し競ひ来る
33フラミンゴの嘴をこぼるる春の水34隠れ里畦をこぼるる春の水
35ゆく春の水を濁らせ魚放つ36レガッタの光さしこむ春の水
37鍬持てば漲る力春の水38出来たての豆腐ほっこり春の水
39坂本の阿闍梨の寺や春の水40安曇野の水車に撥ぬる春の水
41恋ひ焦がるるものを持てとや春の水42春水を空の色ごと掬ひけり
43温む川光映して薄みどり44春の水大地潤し肥沃土へ
45若狭から地殻伏流春の水46両岸を抱えて流る春の水
47春の水美しき流紋躍らせて48古民家の開店まぢか水の春
49春の水富士のできごと知らすごと50春水のゆるり流るるいささ川
51春水やつぶやきさうなお地蔵さん52春の水天と大地の贈り物
53春水こんこん手水舎の龍の口54春水が聴衆川べりのサキソフォン
55病癒えゆく洗顔春の水56おにぎりを花の下にて春の水
57御影石潜り潜りて春の水58きらきらと墓石流るる春の水
59春水の音賑わしき暗渠かな60「花は咲く」ハミング春の水のごと
61水影の樹々にゆらめく春の水62春の水心字の池に小さき泡
63園児等の遊ぶ公園春の水64病み犬の背中を洗ふ春の水
65みなもとはこの山全部春の水66溢れ来る実りの予感春の水
67今朝よりの猫に与える春の水68飛び石をわたる金髪春の水
69長老の居らぬは寂し春の川70洗礼の衣の白さ春の水
71城垣を大きく曲る春の水72コックスの掛け声響く春の水
73春の水真更(まさら)入学児も真更(まさら)74那智御瀧三筋を束ね春の水
75春の水一揆が起こるかもしれぬ  
自由題の部
76ポケットに揺れる合鍵春の月77春惜しむ泣きて澄みゆく心かな
78春夕焼凪ぎし湖面の煌めけり79ふひと出て歩き過ぎたり春の宵
80木の芽時山雨が醒ます昼の欝81春愁や戻れぬ日日を顧みる
82五葉松の大樹へ開く北の窓83母と子の息さすらへりしやぼん玉
84誰がため己がためにか咲く桜85いつのまに音盤の黙花は葉に
86蜃気楼めくや戦火の瓦礫街87ピカソ・ダリ・マチス・モネ・マネ四月馬鹿
88初恋は陽炎のごと消えにけり89広重の茶屋の奥の間春日入る
90リストラを些事と鞦韆漕ぎにけり91シクラメン品定めする男客
92出棺を見送る朝や梅真白93春めきてネイルアートの女性かな
94野遊や雲に名を付け呼んでみる95亡き夫のくせ字をなぞる春彼岸
96鬼怒川の春空回す転車台97亡き父の植ゑし梅咲く入院日
98春満月スーツケースの影軽し99花見なれ団子一串掲げ見る
100さつきから進まぬページ目借時101朝の日や居並ぶ鳥に木の芽吹き
102ピクニック各自持参のお惣菜103春眠やマッサージ機はベッド式
104風光る埠頭にきしむもやい綱105泣き場所を探しいつしかぶらんこへ
106囀りのこぼれ水の輪拡がれり107囀や余白の多き予定帳
108磨り硝子ほどの寂しさリラの花109母の手に触れしはいつぞ朧月
110撫で回す野良の仔猫に名を付けて111春風や顔認証の保険証
112沈丁花昔と同じあの角で113初蝶に雨後の田畑の明るけれ
114春霞二上山の鞍二つ115逆立つる馬のたてがみ風光る
116引き算の暮しに慣れて春の風117ぶらんこに揺られ来し方思ひけり
118花ミモダ明るさ添える宴の席119落雪や爆音家揺れ動悸なり
120冷水の朝の洗顔九字を切る121保護三日やっと餌を喰う子猫かな
122しまなみを渡る風あり桜東風123特殊学級のバス見送りて春疾風
124吾は鳥を鳥は魚を視る春の川125山野辺の旨き空気や青き踏む
126卒園や光る瞳のきかん坊127春が来た今年は何にトライする?
128根を跨ぐ箒目やはし春の庭129能面の姥の伏目や春の宵
130寒戻る窓の花鉢落ち着かず131純白の華やぎ夜は星のごと
132オムライス目当ての喫茶蔦若葉133残雪の山々映えて水鏡
134老いぬるや御山(おやま)も過去もかげろひて135鯨尺てふ妣の物差し春の夜
136やはらかな風にほとりの雪柳137廃校に「ありがとう」の字春の川
138子規の句を皆で読み解く春燈下139船頭に行き先問ふて花筏
140袂より花片零るる躙り口141雁風呂や波静まるを祈る夜
142いとしきは山の駅なる野路すみれ143山笑ふ鳶は地球に影うつし
144白れんの並木は異郷ビル狭間145遠霞近頃会わぬバスの客
146たんぽぽと話してみたし立子の忌147朧なるかなたに淡き摩天楼
148映画館出でればやさし雛の雨149催花雨やカフェの加湿器白く噴く
150庭で咲く青木の花は神を知り151とけるため空から落ちる春の雪
152初蝶や微睡む庭の天使像153朝まだき犬の遠吠え冴え返る
154泥濘に足のもたつく新社員155廃棄の貼紙ちりちり花の雨
156雛人形母の名を記す遺品かな157笑う山裾に軽トラ忙しなく
158ニスの未だにほふ巣箱の穴いびつ159かにかくに桜花爛漫たれがため
160うす紙の闇や雛の息遣ひ161北窓を開き平和を憂ふぼく
162春昼のきれいに焼けた喉仏163ものの芽の紅きは花も紅なりや
164山風の抜け来る小径蕗のとう165チアガールの呉るる似顔絵卒業期
166柏手を絵馬にも打ちて梅見かな167春告げるごとく林のオノマトペ
168啓蟄の日に透けてゐる羽虫かな169草上の弥生遺跡や風光る
170弾を球に変えまあるく春うらら171紙雛の風を揺らすやゆるゆると
172シニア向け間違い探し夕永し173一筋の天使の梯子朝顔蒔く
174見つめれば空進み行く桜かな175ペダル漕ぐ行く手を阻む春疾風
176夏蜜柑とりが突かぬ訳が有る177山笑ふ父の遺した休耕田
178もう咲くね蕾びっしり雪柳179彼岸道水桶下げて遅れゆく
180鳥帰る異国の風を乗り継いで181惚け封じの寺に参拝山笑ふ
182嚙み合わぬ会話弾めり山笑ふ183さざ波のやうな片恋卒業式
184歳時記に妣の癖字や春炬燵185桃の花軍靴半音下げてくる
186戦好きが照らして仕舞ふ朧月187春の蚊の目の端をつと横切って
188満開の桜別れの季節くる189引波や宿居虫の脚さわさわと
190雛の間の雛の妖しき薄あかり191蛇穴出づやいつだつて一心不乱
192洗礼の朝の光や初蝶来193手をつなぎ向えば山の笑いけり
194流氷やクリオネ乱舞オホーツク195空くじも古き手紙もドンド焼き
196生まるるは歪な形シャボン玉197嘘つかぬようにうそつく万愚節
198これよりは女人禁制丁字の香199蘇る「パンダのもり」の胡沙荒るる
200逆上がりやつと成功山笑ふ201春空や大役終へて風を吸う
202土手一面の菜花つみたり友の笑み203風光るベンチの袖のカフスボタン
204開花宣言標本木を取り囲み205懐かしき教え子の名が訃報欄
206ほっぺに紅をさし椿愛らしき207朝日受くステンドグラス百千鳥
208雛達の行く末案じ仕舞ひけり209ふるさとの電話の奥に春の雷
210ぶらんこや列の先頭靴脱ぐ子211子の息をくるんで風の石鹸玉
212チャンネルを回せと叫ぶ昭和の日213春立つや赤き帽子の地蔵尊
214今度いつ君に会えるの春ストール215飼い猫をからかっている日永かな
216ダム阻止の過疎の村有り山笑ふ217やはらかく土のほぐれて菊根分け
218三月の海に合わせる手の老ひし219囀りの消えてひと時湖(うみ)の黙(もだ)
220聞き慣れし投稿者の死桜舞う221中天に半月浮べ鳥雲に
222薄氷を浮かべて寺の池暮るる223春うらら講談三昧初の推し
224人攫ふ波は穏やか磯菜摘225薔薇芽吹く鉢に妖精居る如し
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より2句、自由題より4句の計6句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:4月22日(水)、発表は4月25日(土)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
2月句会結果発表
兼題の部(寒明)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
49寒明や手水の尖りほどけたる11神奈川県風 神
77寒明けの日差しに結ぶ御籤かな10大阪府日野かぐや
67寒明くる付箋の色を空色に8大阪府奥村かよん
22俎板の小気味良き音寒明ける7大阪府順 紀
25寒明けや今日より違ふ散歩道7静岡県えいちゃん
39寒明や雀百羽の飛び発てり5滋賀県幸 亀
21寒明けや関節全て動かして5埼玉県桜 子
28寒明や北の玻璃戸を拭きあげて5三重県déraciné
68寒明けや湯治荷物の良き軽さ4大分県輝 久
12丸い皿四角に洗い寒明くる4滋賀県百合乃
60豆腐屋のいつもの朝寒明ける4愛媛県牛太郎
78寒明けやご無沙汰分の長電話4静岡県なな子
9亀甲を晒す亀をり寒の明け3愛知県コタロー
47寒明やマリアの頬にひかり差す3愛知県牧 子
73寒明くる独り暮らしの一人旅3鹿児島県青 猫
2寒明やフランスパンにジャムのせて3大阪府森 佳月
3寒明けの馬の横顔撫で回す3大分県牧野桂一
14借景の岐阜城に日矢寒明くる3岐阜県近藤周三
20寒明や服をだしたりしまったり3東京都小石日和
37寒明の玻璃戸の光やはらかく3広島県山野啓子
48墨の香や走り出す筆寒開くる3岡山県原 洋一
1朝まだき鳥のひと鳴き寒明くる2千葉県えだまめ
10貝殻の螺旋まどかに寒明くる2石川県翡翠工房
15濡れ色の杉玉光る寒明くる2兵庫県毬 藻
16神鏡のくもり拭はれ寒明くる2京都府せいち
17寒明けて祝杯あげる齢(よわい)かな2神奈川県毬 栗
24寒明や今日は良い日となる予感2神奈川県ひろし
26せせらぎの音軽やかや寒明くる2静岡県彗 星
27寒明けの街の賑わひ我楽多市2神奈川県たかほ
31カフェラテのハートの歪み寒の明け2千葉県光雲2
33パタパタとインコの走り寒明ける2北海道小 幸
34寒明や槌音ひびく路地の奥2東京都水谷博吉
45シルバーの夢はみちくさ寒明くる2大阪府椋本望生
52寒明けや田んぼは未だ眠りおり2宮崎県黒木寛史
71園庭に明るき声や寒明くる2神奈川県秋山由美子
76薄紅のマニキュア光り寒明ける2神奈川県佐藤けい
8家々の屋根カラフルに寒明ける1新潟県しーしー
11寒明の空洗はれて目に痛し1静岡県指田悠志
30春立つや色の溢るる花屋かな1神奈川県ドラゴン
38寒明の飛沫光らせ着水す1愛知県み う
40寒明や喜寿の旅路計りをり1兵庫県藤島三郎
41関節の軋み弛びて寒の明1千葉県須藤カズ子
43寒明けや転勤内示ありしより1東京都浦上三九郎
46朝練の掛け声柔し寒の明け1兵庫県紀州鰹節
50寒明や二冊持ち込むブックオフ1神奈川県ひろ志
55寒月や胆石一つ腹の中1千葉県あけび
56寒明けの厳しき気配受験生1滋賀県鶴亀鈍
58寒明や二番ホームの遅延また1茨城県申 女
62寒明けぬ一輪挿しに花一輪1北海道篤 道
64寒明けや人も草木も目を覚まし1茨城県西川富美子
70寒明や酒蔵巡りの招待状1奈良県魚楽子
72おいごゑの講釈長し寒の明け1広島県一 九
74寒明けて朝の紅茶の湯気優し1千葉県美 保
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
160薄氷を割りて水替え妻の墓12大阪府森 佳月
117早春の風となりたる群雀10愛知県み う
94きさらぎの陽ざしに透ける猫の耳9兵庫県毬 藻
137口重き少年の笑みクロッカス8茨城県申 女
143福豆を撒く人の笑み拾う笑み8茨城県西川富美子
89たんぽぽや仔羊の目に水平線7石川県翡翠工房
118不要なるたつた一言冴返る7滋賀県幸 亀
152汽笛聴くミモザ溢るる異人館6鹿児島県青 猫
92走り根の続く山道春浅し6神奈川県阿部文彦
96くるりんと子犬の尻尾春立てり6神奈川県毬 栗
120浅き春少し固めの茶屋の蕎麦6千葉県須藤カズ子
156女雛折るベトナムの娘(こ)の長き髪5大阪府日野かぐや
123朝摘みの木の芽和え盛る備前焼5北海道無 才
126鳥の影大きく開ける春障子5愛知県牧 子
135天蓋は春の星空露天風呂5滋賀県鶴亀鈍
188春立つや子の夢乗せて縄電車5神奈川県ドラゴン
192春浅し庭にもぐらの覗き穴5東京都水谷博吉
204卒業の証書丸めて観る社会5兵庫県紀州鰹節
106所在無く小銭数ふや草餅屋4神奈川県たかほ
127永き日や卓に終活情報誌4岡山県原 洋一
141雪解けや捨てた鉢花色づきぬ4北海道篤 道
174やはらかく盛りあげていく春の土4京都府せいち
190旅立ちし娘の箪笥雛飾4埼玉県夜 舟
206木々の芽の昨夜の雨のほぐれかな4岡山県原 洋一
231春夕焼け明日は遠くへいく人と4鹿児島県青 猫
84焼山の色を沈めて御嶽山3愛知県佐藤マルキチ
216九十歳のリハビリけふもヒヤシンス3茨城県申 女
87砂山の黒松林安吾の忌3新潟県しーしー
108月光の白き御堂や猫の恋3神奈川県みぃすてぃ
85きざはしに躓く詣冴返る3愛媛県海 猫
91炊き上がる白米ニ合や風光る3滋賀県百合乃
101磨かれし仏具の奥の涅槃絵図3大阪府順 紀
103稲取の街みな雛の色に染め3神奈川県ひろし
107蕗の董たしか去年もこの辺り3三重県déraciné
109ポスターのリップはピンク春立てり3神奈川県ドラゴン
122枯れ路地や水の地図描く春時雨3東京都浦上三九郎
138授乳終え吾子の睫毛に差す春暁3兵庫県ケイト
150春光や相模の海へ続く道3神奈川県秋山由美子
159冬の雷騒ぐ湖面を渡り来る3千葉県えだまめ
161寒風やふわりと鳶の無重力3大分県牧野桂一
171遊覧のバスが吐き出す春帽子3神奈川県阿部文彦
175西行忌未踏の駅に降りてみる3神奈川県毬 栗
179雪解待つ底の見えたるダム湖かな3埼玉県桜 子
181寒肥や小さき芽を出す植木鉢3京都府花 子
198踏み入れば青き闇かな山椿3兵庫県藤島三郎
199大鯉の浮かび来る背や水温む3千葉県須藤カズ子
200蠟梅や夕陽に透けてなお香る3埼玉県豊 楽
229つややかに朝の雨受け牡丹の芽3神奈川県秋山由美子
81春泥に囚われてゆくスニーカー2大阪府森 佳月
95雪の窓小学唱歌みな文語2京都府せいち
113飼ひ猫の出払ひてをり春立ちぬ2東京都水谷博吉
125孤高なる我の心に冬田打つ2兵庫県紀州鰹節
130流氷の唸り波打つウトロ崎2神奈川県梗 舟
151福は内唱へ唱へて役は鬼2広島県一 九
155春めくや昭和歌謡の生ライブ2神奈川県佐藤けい
157廃屋の板塀越しに笑む桜2静岡県なな子
163野良猫の影ひきずりて寒の月2愛知県佐藤マルキチ
164撒き餌に口あけて鯉水温む2愛媛県海 猫
168天色の玻璃の文鎮良寛忌2石川県翡翠工房
170オルゴール鳴らずそのまま春の雨2滋賀県百合乃
173立春大吉ベランダに二羽の鳥2兵庫県毬 藻
182ぶらんこや代はる代はるに風うけて2神奈川県ひろし
189名残り雪そうして人も消へてゆく2千葉県光雲2
191淡雪の静かに積んで雪の嵩2北海道小 幸
196水色のシューズの駆けて春立ちぬ2愛知県み う
202雪雫襟首濡らす軒の下2北海道無 才
215教会に残る寒さやミサの朝2岐阜県俳ネン
222梅祭り目耳口鼻満ち足りて2茨城県西川富美子
225薄氷やお菊の皿はどれも丸2大阪府奥村かよん
233苔の間の地蔵を濯ぐ春の雨2大分県晴田そわか
234春深しハートアートの喫茶店2神奈川県佐藤けい
82単身の任地は宰府梅開く1大分県牧野桂一
83薬てふ指の妖しや毛糸編む1神奈川県遠野アルヒ
88水鳥の水を羽搏く水の音1愛知県コタロー
90仲代の逝きし日からや虎落笛1静岡県指田悠志
93古民家に本籍移し朝寝癖1岐阜県近藤周三
97雪上を地球の自転より早く1神奈川県ゆりみ
98りくりゅうの歓喜の涙風光る1千葉県山月
100節分や心の鬼は胸の内1埼玉県桜 子
104木の芽吹くうぶすなの山清々し1静岡県えいちゃん
105春の昼金平糖の溶け初むる1静岡県彗 星
114お天気に誘われし買ふ春の服1埼玉県イレーネ
115春浅し暖簾くぐれば味噌仕立て1神奈川県横坂 泰
119須磨寺の花供曽甘き涅槃の日1兵庫県藤島三郎
124狛犬の吠え出でむとす猫の恋1大阪府椋本望生
129やはらかく春のにがあじ蕗のたう1神奈川県ひろ志
131東雲の空に残りぬ朧月1宮崎県黒木寛史
136田を畑をけぶらし終はる野焼かな1岐阜県俳ネン
140水際より春雪消ゆる鴨の池1埼玉県千葉 美知子
146淡雪のほどろほどろや土の赤1大阪府奥村かよん
147三才と告げる墓前のお中日1大分県輝 久
149郡山城址秀長という盆の梅1奈良県魚楽子
154うすらひのうへへ羽毛といふ平和1大分県晴田そわか
167心理士の柔和な顔や春隣1愛知県コタロー
176朝霜やああ歩けたなあの頃は1神奈川県ゆりみ
187軽トラの家財一式初音かな1神奈川県みぃすてぃ
194梅祭葷酒燻らす屋台かな1神奈川県横坂 泰
195節分や鬼も呼び込む独りの夜1広島県山野啓子
210春泥や汲み上げられぬレアアース1宮崎県黒木寛史
211春の蠅八十路の肩に降りにけり1埼玉県かわばたとおる
223春立ちぬ五畿7道にあまねく日1大阪府藤井あつこ
226春疾風野辺の送りの裾乱し1大分県輝 久
230須臾の間の読書春雪かくも積む1広島県一 九
235梅東風のニューヨークへ嫁(ゆ)く四十路かな1大阪府日野かぐや
【選評】選者:草の花俳句会同人会 服部 満

≪兼題の部:寒明≫
★寒明や雀百羽の飛び発てり

 昨日まで寒さを防ぐためにふくら雀だったが、寒明を待っていたかのように一斉に飛び発った。小寒から大寒
を経て、15日目の節分までおよそ30日間の寒が終わりました。掲句はたくさんの雀が空に飛び発ったという描写
だけですが、その雀の姿にがまんしてきた寒い時期が終わり、ほっとした作者の想いが感じられます。

◎寒明くる付箋の色を空色に

 小寒、大寒と続いたおよそ一カ月が過ぎて寒が明けた。日頃使っているノートに貼る付箋を薄青い色に変えて
みた。寒明とはいってもまだまだ寒さが続き、本格的な暖かさとは程遠い。それでも寒明という一区切りに、付
箋の色変えというささやかな行為であっても作者の安堵感を感じます。付箋の「空色」に季節の進みを思います。

◎寒明けや湯治荷物の良き軽さ

 予後をいたわるべく、温泉行きの荷物の支度をしている景か。「良き軽さ」に作者の実感があります。衣料品
などはまだ冬場と変わらぬ量かもしれません。しかし、寒も明けたことだし少し荷物を減らせるかもしれない、
少し軽くできたようだ、そんな心の内を感じさせます。軽く感じたのは、体の回復が進んでいるからなのかも知
れません。

≪自由題の部≫
                        
★口重き少年の笑みクロッカス

 公園の花壇で憩う親子らの一齣でしょうか。母親の知り合いから話しかけられても、恥ずかしそうに微笑むば
かりで口数が少ない少年。早春にいち早く咲き、本格的な春の訪れを待つクロッカス。紫か白か黄か、それらの
色のクロッカスが鮮やかに並ぶ花壇と、幼い少年のはにかむような笑顔の対比が印象的です。

◎焼山の色を沈めて御嶽山

 焼山は山焼きをしたあとの黒々と焼け焦げた山。昔は村々に低い草刈山や茅山があったから、山村の春には焼
山が見られました。村里から幾重にも重なって続く、焼山の黒く焦げた山肌の火照りを沈めるように、包むよう
に、背景に御嶽山がどっしり構えている、そんな風景でしょう。「色を沈めて」の表現が巧みです。

◎九十歳のリハビリけふもヒヤシンス

 九十歳でありながら何かの機能回復を目指して、リハビリに励んでいる様子。機能訓練の施設か、自宅か。傍
らには水栽培されているヒヤシンスがインテリアのように飾られています。ヒヤシンスの直立する花茎に励まさ
れるのかもしれません。立派です。今日も明日もまだまだリハビリに頑張って欲しいと思います。

        
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