1月句会投句一覧
兼題の部(寒の水)
1寒の水京の町屋の杉手桶2寒の水胸のつかえを流しをり
3寒の水柄杓を添へた修験場4寒の水烏も呑んでをりにけり
5朝一番寒九水飲み風邪予防6寒の水沖曳き舟の琵琶湖かな
7飲み干して五臓六腑へ寒の水8飲み干して背筋を伸ばす寒の水
9金閣のくつきり映へて寒の水10寒の水お餅をひたす母がゐた
11寒の水手を清めては空仰ぐ12寒の水口にまろばせ夜の底
13野仏は竹筒に盛る寒の水14寒の水かぶり絵付師筆択む
15古井戸の底の晴天寒の水16寒の水忍野八海極めけり
17ご時世か通販で売る寒の水18仏前の寒の水にも薄氷
19一徹を通す豆腐屋寒の水20気を締めし清めの水屋寒の水
21命つなぐ薬5錠や寒の水22もう開くことなき口へ寒の水
23列なして寒の水汲む街の角24寒の水流れに火照る十指かな
25「医者いらず」と父の宣ふ寒の水26寒の水飲みて晩節汚すまじ
27寺に汲む寒九の水をもて薬28湧き出づる寒九の水の重たさよ
29出来立ての豆腐に滲みる寒の水30触れてみて飲んで味はふ寒の水
31産土の湖より汲みぬ寒の水32恙無しお神酒のあとの寒の水
33寒の水含みて遠き日のことを34入魂の杜氏の技や寒の水
35父母の墓に向かひて寒の水36寒の水硯に汲みて写経かな
37寒水を浴びては猛き兎巾かな38湧き出づる寒九の水の重たさよ
39起抜けの喉にひと口寒の水40老いの身にゆつくり甘し寒の水
41魚の影刃物の如し寒の水42寒の水棒呑むごとく胃腑まで
43たまさかの迷ひ透けたる寒の水44益荒男に湯気立ち上る寒の水
45丹田を驚かしたる寒の水46寒の水汲むみて始まる廚事
47血管の隅々めぐる寒の水48常識のウソも嘘です寒の水
49弧を描くフルートの音や寒の水50寒の水剣颪に干す素麺
51寒の水上下している喉仏(のどぼとけ)52球根のアネモネ芽吹く寒の水
53四天王と呼ばれし兄や寒の水54ふるさとの割れ地蔵にも寒の水
55かむやうに六腑に下す寒の水56一息に喉を潤す寒の水
57我が汲める寒九の水に父逝けり58からからと釣瓶滑車や寒の水
59寒の水掬つて逃がす幼の手60今年こそ意を決しての寒の水
61寒の水鯉の背びれに纏う波紋62酔ひ覚めや身体しみいる寒の水
63寒の水半紙に匂ふ墨の花64霊水なり富士湧水の寒の水
自由題の部
65虎落笛ひとり屋台の客となる66子らがみな一途に遊ぶ狗日なり
67誂へし花道のある初芝居68注連飾ピアノ教室閉じてをり
69マラソンや寒冷中熱き応援70冬木風ぬけて雨戸を叩くやら
71ペンだこや昭和を生きて書く賀状72水鳥の水面に溶けて夕まぐれ
73息災のひと日を祈り寒卵74いづれより流れ来たるや落椿
75入海に染むる朝焼凍ててをり76猪のたしなみ程の賀状かな
77遠山に吐く息届け寒四郎78目を据ゑて叶の字沙弥(シャミ)の筆始
79冬雲や泥に塗れる牛の群80初みくじ開きて笑みの親子かな
81雑煮喰い家族一緒に歳をとり82遠くより仏僧の鉦寒に入る
83向き合うて喜寿や傘寿や雑煮椀84賽銭を離さぬ孫の初参
85渋滞の窓をかすめる初雀86ひと日歩きひと日老いゆく冬木立
87賑やかにチンドン屋来る薄氷88しばらくは泣いてもいいよ軒氷柱
89宝引きや畳滑らす紐の華90春待ちの入鹿の墓の在りどころ
91冴ゆる空比叡の峰のくつきりと92藁帽子白を湛えて冬牡丹
93煌きを掬ふ柄杓や初手水94高度一万より富士の初景色
95もう弾かぬ津軽三味線冬酒場96冬の色坂を上れば海見えて
97スクワット数回増やす寒九かな98天空に梯子掛けたる出初式
99水仙花父の使ひし徳利に100寒日和上野の寄席の賑々し
101葛根湯零れて冴ゆる厨かな102藁帽子白を湛へて冬牡丹
103春近しエイトビートのリズム切る104まず吾子の受験日印す初暦
105初夢の続きの如し駱駝の歩106運否天賦立春の卵立ててみる
107振袖のはにかむもろさ初鏡108足跡のすぐに消えゆく雪女郎
109潦きらりと光り日脚伸ぶ110俎板初めさけてとおれぬ水仕事
111ふうふうと雑炊すする細雪112初句会子規も久女も楸邨も
113うすうす知りつつありがとサンタさん114銀色に蛇行する川辛夷の芽
115日脚伸ぶつけっぱなしの常夜灯116風花の舞い込む海にゆく電車
117古井戸の底に江戸あり梅の花118味噌汁にははの畑の蕪かな
119古民家の太き柱や日脚伸ぶ120筆まめの子規の遺墨よ冬深し
121少しずつ身は奈落へと春炬燵122一夜さの雨に紅たつ寒椿
123送迎に忙しき母や成人の日124雪のはら真ふたつに割りて汽車の行く
125海峡をのたりと沈む冬茜126凧揚げや子らは走りて風をよび
127松竹の古き映画や山眠る128裸婦像に石の温もり春隣
129凩の伊勢佐木町に屋台の灯130千代の春いざござしつつ華寿迎え
131すつぽんと海より生まる初日かな132初明り徐々に華やぐ一人部屋
133初マラソン期待あふれ街道沿い134街明かり今宵いずこの寒の月
135氷瀑や時を刻みて落つ雫136夕まぐれ何を語らふ冬木立
137犬と犬嗅ぎ合つてゐる御慶かな138両側に椿の盛り女坂
139澄明の昇る初日に手を合はせ140賀状に代はるメールの常の文字
141門松を飾れぬ門を掃き清む142年寄ると左右の脚へまづ御慶
143冴ゆる夜やたいまつ揺lらぐ焼肉屋144神宿る雪嶺人を寄せ付けず
145冬ざれや古き扁額読みあぐね146しずしずと車進みぬ雪の朝
147骨密度しやりしやりと踏む霜柱148仕舞湯にやっと一息除夜の鐘
149書きとめる「天声人語」初日記150木枯しに空耳と聞く考の声
151黒岩が養母ま白き氷柱かな152鉦の音の先に着きたる寒念仏
153雪晴れや眩し過ぎたる大風車154安居院あたりの春待つ景色かな
155わらんべの指折り数へ七草粥156寒月の光さやけき松の影
157鈴本の列に並ぶや寄席開158賽銭の返す音にも淑気満つ
159釣鐘の中の暗闇冬の蝿160戯るる子犬とわれと雪女
161九十代いかに生きよか日向ぼこ162初風呂や日の色の透く硝子窓
163遠山に雪積もりおり母の墓164足場組みビルの工事や寒三日月
165国の春煙真白き浅間嶽166寒月の光さやけき松の影
167名工の打出す槌目寒の夜168初御空富士どつしりと坐りをる
169大根干す三浦三崎の浜の風170比べあう検査データや春隣
171牡丹鍋仕留めし人の正座かな172教会の鐘高らかに日脚伸ぶ
173寒禽らし庭木どこかが揺れてをり174七福神巡りし足をいとおしむ
175朝の道頬極寒の痛みあり176おーい春愛染坂を上り来い
177孫ら去り節の残りをつまむなど178冬苺明日は訪はんか母がりを
179節分の支度整う神社かな180伊勢海老の髭のはねたる雑煮かな
181えびす銭求めて帰る初恵比寿182ぶくぶくの犬通りをりジャケツ着て
183除雪車の人夫に怒号飛び交ふは184淑気満つ夜通し点る伊豫の城
185冴返る乳剥落の女身仏186錬塀の破れよりのぞく冬椿
187老いの道母を思ひて去年今年188箱根より寒風の中子ら走る
189梅咲きて又ひととせの浮世かな190雪薄し富士の高嶺や冬の虹
191虎落笛太刀打ちするはビートルズ192冬ざるる日時計の針軽き影
〔選句方法〕

下の〔草ネット投句〕ボタンから送信するようにお願い致します。
「選句」を選び、兼題より1句、自由題より2句の計3句を選択し、
都道府県名・氏名(俳号可)を明記の上、「送信する」ボタンを
押してください。

選句〆切:2月26日(火)、発表は2月28日(木)に行います。

なお、一部の漢字はネット上では正しく表記されず、
「?」で示されますので、読みを入れてあります。
        
12月句会結果発表
兼題の部(冬田)
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
53バス停の前も後も冬田かな5千葉県相良華
49引退はまだ先のこと冬田打つ4岐阜県色即是句
14水の音なだめて眠る冬田かな3埼玉県大谷 茂
50ここからは村の名かわる冬田径3福岡県伸治
19冬の田や風に抗うものも無し3東京都一八
24日をためてしづかに眠る冬田かな3熊本県蕗の薹
26遠会釈交わす農婦や冬田道3岐阜県小太郎
41一羽づつ降りて調ふ冬田面3神奈川県横坂 泰
7足跡と杭の残りし冬田かな2京都府せいち
10黒土に轍の残る冬田かな2愛知県コタロー
13継ぎたるは詩才なき血と冬田かな2岐阜県近藤周三
42切り藁を被り冬田の眠りけり2奈良県陶生
47鉄塔を鳶の巻きたる冬田かな2長野県油井勝彦
48出稼ぎの父とほのくや冬田道2神奈川県毬栗
63堆肥撒く農夫も翳の冬田かな2兵庫県ぐずみ
23筑波嶺の裾廻の冬田打ち返す1千葉県みさえ
52白鳥にウミネコまじる冬田かな1岩手県柴田コル
5冬田道防風林を遠くしぬ1北海道三泊みなと
6黒土の五線譜模様冬田かな1東京都吉田孤陋
12山間や古道に沿ひて冬田道1愛知県丸吉
16冬田に餌求めてはねる雀かな1三重県倉矢 幸
25青天に走る旋風の冬田かな1埼玉県郁文
29満水のダムや冬田を撫でる風1沖縄県繭子
30光芒の届く冬田でありにけり1大阪府レイコ
33雲ちぎれ冬田広がる旅の窓1愛知県さと
37風荒ぶ冬田の秘める底力1埼玉県さくら子
44容赦なき風吹き抜ける冬田かな1三重県八郷
51忘れものあるはずのなき冬田かな1兵庫県柴原明人
54醜草の青累々と冬田かな1静岡県こいちゃん
60吹き抜ける冬田に案山子一人立つ1東京都一寛
61機関車の煙懐かし冬田道1福岡県蛍川
62冬の田に引かるるごとく鷺一羽1広島県一九
自由題の部
作 品 互選 選者選 都道府県 作者
153埋火や今日のひと言悔いてをり7大阪府芙美佳
105雑踏の中の孤独や年の暮7奈良県陶生
150カルデラに低き天籟星凍つる5熊本県蕗の薹
99幸せは些細なること干蒲団5千葉県須藤カズコ
168侘び住ひ太るばかりの軒氷柱4奈良県陶生
64どん突きに古き床屋や夕時雨3栃木県垣内孝雄
73玄関を出れば星降る寒さかな3愛知県コタロー
118寒禽の集まる一樹神の庭3愛媛県牛太郎
152冬川を跨ぐ深紅の太鼓橋3岐阜県小太郎
169まぐわひし果ての虚ろや雪女郎3神奈川県志保川有
176磨崖仏あまたを抱き眠る山3福岡県伸治
68ちゃんちゃんこ涙腺弱き貌となり2北海道三泊みなと
158コーヒーを淹れる朝や室の花2三重県正耕
167百段の踊り場に聴く除夜の鐘2神奈川県横坂 泰
72そぼ降りに小揺るる一葉冬紅葉2神奈川県三裕
76村を去りゆく雪吊りの達人も2岐阜県近藤周三
79逆上がりやっとできた子園小春2三重県倉矢 幸
82老い二人ベンチに憩う冬帽子2東京都一八
83軍歌聞こゆる大雪の八甲田2神奈川県ひろし
85飴玉を噛むごと歩む初氷2北海道千賀子
86冬ゆやけ田に一筋の煙立つ2千葉県みさえ
117風を待つ紅葉の種にある翼2静岡県こいちゃん
121会長の挨拶咳をひとつして2静岡県春生
122雪兎それぞれ子らの顔をもつ2滋賀県和久
128湯豆腐や外はどうどど空つ風2東京都吉田孤陋
130独り居の庭の一隅石蕗の咲く2千葉県えだまめ
175炉明りや恋の噺をひとくさり2岐阜県色即是句
188谷合のちさき棚田や冬茜2広島県一九
67宴席を抜けて見上ぐる寒北斗1千葉県えだまめ
65寄鍋や昔々のものがたり1東京都吉田孤陋
71小雪降る里山は只静かなり1東京都いちこ
74凩や波郷立ちゐしバス乗場1東京都
75白息の俥夫のもてなしあたたかし1愛知県丸吉
77ぽつねんと星空仰ぐ師走かな1埼玉県大谷 茂
78薄化粧の大阪の雪はかなくて1大阪府藤岡初尾
80平成も行く年光陰矢の如し1新潟県はるひ
84ファッションの冬帽歩く銀座かな1埼玉県祥風
87正信偈和して師走の忌を修す1熊本県蕗の薹
90故人偲ぶや菩提寺の散紅葉1大阪府芙美佳
94清掃車またすれ違ふ師走かな1東京都小石日和
97真冬日や空は果てまで澄み渡り1北海道ゆうこ
98丸まりし犬の寝息や冬ぬくし1神奈川県ドラゴン
108やはらかな柚子の残り香仕舞風呂1埼玉県グレイス
120短日の昏れれば灯る日比谷かな1東京都一念
123頑なな心をほぐす柚子湯かな1東京都一寛
127狭庭より道にはみだす龍の玉1栃木県垣内孝雄
131猫たちの心の遊び毛糸玉1北海道三泊みなと
133散り残る葉に絡みをり冬夕焼1京都府せいち
137凩や牛舎の灯り呱々の声1東京都
142冬の月湾にとりこむ潮かな1三重県倉矢 幸
143一年をこんなものかと除夜の鐘1新潟県はるひ
146客船をひかり縁取る聖夜かな1神奈川県ひろし
151路地裏へ木枯し音を捨てゆけり1埼玉県郁文
155冬晴やステンドグラスの見晴台1沖縄県繭子
160まつさらな雪のきらめく日差しかな1北海道ゆうこ
163無事と言う言葉の重み除夜更ける1埼玉県さくら子
166裾分けの柚子残り香や手の平に1宮崎県花林糖
170人は皆過去を引きずり隙間風1三重県八郷
173冬日差色ひとつなる車山1長野県油井勝彦
177山頂に震える膝や初日の出1兵庫県柴原明人
181冬ざれや鴎賑はふ河口堰1愛媛県牛太郎
182にはとりの股を噛み切る聖夜祭1東京都
183波が来て流木ぬらす寒さかな1東京都一念
185大寺の一期一会の煤払1滋賀県和久
12月句会選評 選者:「草の花」俳句会 副主宰 鈴木五鈴(すずきごれい)
 
《兼題の部:冬田》

★水の音なだめて眠る冬田かな

「なだめて」も「眠る」も、いずれも冬田を擬人化した表現です。それが詩だと誤解している初心者は多く、
しばしば注意喚起しているところです。しかしそれは、あくまでも陳腐な場合という前提があります。
ですが、この句には魅かれました。穏やかな日差しの下に広がる冬田。しかし、耳を澄ませると小流れの音が、
ささやくように聞こえてきます。これは冬田が水音を「なだめて」いるからだと作者は感受しました。そして
冬田は静かに「眠る」のだ、と。春には水音と共に目覚めるのです。心地良い擬人化だと認めたいと思います。
 
◎筑波嶺の裾廻の冬田打ち返す

広々とした田畑の先に筑波山はいつも見えています。「裾廻」とは山の麓のめぐりとの謂。つまり、掲句の
冬田は筑波山の麓に広がっているということになります。そこでの冬田打ちをシンプルに詠みました。
「冬田かな」では味がありませんが、「打ち返す」で人の動きが見えるようになりました。
 
◎バス停の前も後も冬田かな

田舎道でたまに出くわす光景。点在する家が遠くには見えていますが、なぜこんな所に・・・などと不思議に
思うばかりですが、以外や以外、一人二人とバス待つ人を見かけもするのです。空っ風には閉口するに違い
ありません。まさに冬田の中の一バス停。どこにでも句材は落ちているものです。
 
《自由題の部》
 
★カルデラに低き天籟星凍つる

「星凍つる」。もちろん、そんな夜は、キーンとした寒さに、空気も澄み渡っているに違いありません。
カルデラを覆うように空には満点の星。しかし作者は、同時に「カルデラに低き天籟」を感じてもいるのです。
何事もないような、美しいばかりの凍星の輝きに感動する一方で、やや不気味な響きを・・・活きているカルデラ
の存在を感知しているかのようです。少し屈託が・・・。
 
◎どん突きに古き床屋や夕時雨

「どん突き」は辞書によると、滋賀県彦根市や京都の方言と出ていました。「突き当たり」の意味と言います。
おそらく路地奥の突き当たりに「古き床屋」があるのでしょう。懐かしいたたずまいなのでしょうか。入口脇
には、渦巻き状に回転する円柱状のもの(名前を失念)もあるはずです。如何にも夕時雨が似合いそうですね。
「どん突き」という俗語っぽい方言の効果もあるのかもしれません。
 
◎宴席を抜けて見上ぐる寒北斗

どんな宴席なのでしょうか。宴もたけなわを過ぎる頃には、ちょっと座をはずしたくなるもの。酔い醒ましとい
う側面もあるのでしょうが、ベランダか庭などで風にでも当たっていたのでしょう。ふと見上げると北斗七星が
くっきりと見えていたというのです。寒ならではの光景かもしれません。
 
添削(ランクアップのために)

やや微妙な部分にも今回は触れてみました。元句と添削例を比較検討されるよう願います。句意を如何にすれば
読者に伝えることができるか、という問題です。
 
・出稼ぎの父とほのくや冬田道 → 出稼ぎの父のとほのく冬田道

「や」の切字を使うか使わないかだけの問題です。ある意味では「冬田道」と「出稼ぎの父」との距離感の問題と
言えるかも知れません。出稼ぎに行く父の背中を小さくなるまで、同じ一本の冬田道に立ち、いつまでも見送って
いる作者。父への思いがいつまでも揺曳しているイメージを詠んだのが後者で、一方、前者はその思いが「や」を
使ったことで断ち切られているような感覚が残るのではないでしょうか。御検討くださるよう願います。
 
・村を去りゆく雪吊りの達人も → 雪吊りを終へて達人村を去る

「雪吊りの達人」という言い方は、「魚釣りの名人」などという言い方に似て、季節限定の言葉にはなり得ません。
つまり元句の「雪吊り」は季語としては認められないのです。季語は、眼前にあることが前提ですので、詠み方を
替える必要があります。添削例を参考にしてください。
 
・アンデスに谺する笛クリスマス → アンデスに笛の谺やクリスマス

外国のクリスマスについては全くの不案内ですので、掲句のような句を見ると新鮮で嬉しくなります。笛とはアン
デス特有の楽器なのでしょうね。結構賑やかなのでしょうか。アンデス山中にその「笛の谺」が響き会っている
様子には心が躍ります。「谺する笛」との違いを理解していただければ幸いです。
        
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